初めての長距離ライド
ロードバイクに乗り始めるとペダルをこぐ楽しみを知ってくると、どんどん遠くに出かけてみたくなってきますね。長距離を気軽に移動できるのもロードバイクの大きな魅力です。ロードバイクの魅力を最大限楽しめるように、ロングライドに挑戦してみましょう。
1.ロングライドを楽しむコツ
少しずつ距離をのばそう
どこからがロングライドと呼ぶかは特に決まりはありません。一般的には1日あたりの走行距離が100km前後のものをロングライドと呼んでいます。初心者がいきなり100km以上の走行をするのはペース配分ができなかったり、想定外の自転車トラブルがあったりして、とても危険です。まずは、自分なりのペースで少しずつ走行距離を伸ばしていきましょう。10km、30km、60kmなど小さく目標を定めて、無理なく走れる距離からロングライドに体を慣らしていきましょう。
仲間と走ってみよう
自分のペースで黙々と走り続けるのもいいですが、同じ目標をもつ仲間と走るのも楽しいものです。また、慣れるまでは一緒に走る人がいるとパプニングがあったときにも心強いです。長距離に慣れている人ならば、その人の経験から学ぶこともできます。仲間がいれば安心してロードバイクを楽しむことができます。もし、身近に仲間がいなければ、自転車店に相談したり、ロングライドのイベントに出場してみたりするのもいいでしょう。
ルートを考えよう
初めての場合は特に無計画なロングライドは危険です。どこを走るかをあらかじめしっかり決めておきましょう。最近は本やWEBでサイクリングロードが紹介されているので、それを参考にしてもいいでしょう。輪行をして初めての土地を楽しむのもいいですね。行きは自転車で帰りは電車というのも初めてのロングライドにはオススメです。場合によっては、下見をするのも決してやり過ぎではありません。
ルート作成する時に気をつけたいこと
ルートを考えるときには、交通量が少ない道をできるだけ選びましょう。またサイクリングロードや河川敷など走行やすい道を優先的にルートに組み込むのもいいでしょう。
自転車以外の楽しみをつくろう
走るルートの中で、立ち寄るスポットを見つけておきましょう。休憩をするのはもちろんですが、その土地でなければ味わえなかったり、体験できかったりするものがあるはずです。自分の趣味に合わせて、グルメスポットを探索したり、素敵な風景を楽しんだりしてロングライド+αの楽しみ方ができるのもロードバイクの大きな魅力です。
余裕のある時間設定にしよう
慣れない土地での夜のライドを避けるため、初めのうちは日暮れまでに完走できるように計画をたてましょう。帰りの予定時間から休憩や寄り道の時間を計画に入れて、逆算してみましょう。自分が出せるスピードを基準にして無理のないロングライドの計画をたてましょう。
2.ロングライドを楽しむために必ずできるようにしておくこと
ロングライドのイベントなどでのトラブルは基本的に自分で解決しなくてはなりません。パンクやマシントラブルなどが起きた時には自分で対処できるようにしておきましょう。
まずは、走行前の事前チェックからはじめよう
・空気圧
適正空気圧はタイヤの横に記載されているので、数値を確認しながらチェックしよう。少ないとリムが変形してしまう原因になります。タイヤの摩耗具合や異物が刺さっていないかも同時にみてみよう。
・ブレーキシュー
雨でのブレーキングはシューがすぐにすり減ってしまいます。シュー溝を確認して、十分な残りがあるかを確認しよう。リム側の摩耗も事故につながる可能性があるので、注意しましょう。
・クイックリリース
意外と見落としがちなクイック。前後ともしっかりと締まっているか確認しよう。
・ネジの増し締め
ヘッド、ステム、シーポスト、サドルなど振動で緩んだネジがないかを確認しよう。
・ヘッドのガタつき
ブレーキをかけながらバイクを地面に押し付けて揺らしてみよう。ヘッドの締め付けが甘いとガタつきがあります。そのままではヘッドが壊れてしまうので注意しよう。
ロングライド 事前チェック表
空気圧 |
ブレーキシュー |
クイックリリース |
ネジの増し締め |
ヘッドのガタつき |
タイヤのパンク |
チューブ交換を完全マスターしよう
事前の空気圧チェックをしていても、路面の障害物に注意をしていても避けられないパンク。そんな時でもパンク修理をマスターしておけば、安心してロングライドを続けることができます。大切なのは、パンクになるまえにマスターしておくことです。購入した自転車店で教えてもらうのもいいでしょう。慣れれば10分程度で交換することができるので、時間を作って何度か練習し、マスターしておきましょう。
- バルブナットをはずして浮いた頭を押す。チューブの中の空気をしっかり抜く。
- タイヤをよくもみ、ビードをリムの中央に落とす。少し隙間ができたところでタイヤレバーをビードに引っかける。チューブを挟まないように気をつける。
- タイヤレバーはバルブの反対側から引っかける。1本目をスポークに引っかけたら、少し離して2本目をかける。
- 片側のビードを1周外し、中のチューブを引きずり出す。この時、逆側のビードははめたままにする。チューブは抜いてもバルブは抜かないでおく。
- 中のチューブを出した状態で一度空気を入れる。穴の位置が明らかになるので、パンクの原因を見つけることができる。穴はひとつとは限らないので、耳を澄まして念入りに調べる。
- 原因を確認したら新しいチューブをいれる。片側のビードを残しておけばすぐにチューブが入る。タイヤをしっかり持ち上げ、バルブを通す。
- ビードをはめる。バルブ側を落とし込み、そこから左右対称にすこしずつはめていく。バルブは少し浮かせて隙間をつくるとはめやすい。
- チューブにほんの少し空気を入れ、タイヤの中にはめていく。少しずつ入れるとチューブがよれない。無理に押し込まずに均等に入れていく。バルブの反対側は固いので手のひらでグッと押し上げてはめていく。
- タイヤにチューブが入ったら、両手を使ってチューブをリム側に落としていく。はみ出していたり、均等に入っていなかったりすると後ではめづらくなるので注意する。
- すべてのビードがはまっているか、チューブがよれていないか、リムとビードに挟まっていないかを1周すべてを確認し、問題がなければ空気を入れる。
- バルブをしっかりと締め、バルブキャップをして完成。
3.ロングライドに必要な装備
ロングライド先でのトラブルは心配事のひとつです。あれもこれもと持っていくと荷物が重くなってしまい、体力を奪う原因にもなってしまいます。ロングライドではなるべく軽装をめざしましょう。
・ウエア
服装は長時間自転車をこぐため、動きやすく汗が乾きやすいものを選びましょう。ロングライドの途中でコンビニやお店に立ち寄る予定があれば、カジュアルなものを選ぶなどロードバイクにもTPOを考えた服装をチョイスしましょう。
・サイクルジャージ
サイクルジャージは走ることに重点を置くロードバイクのために、体への負担を減らせるような工夫がされています。必要最低限の小物を収納できるバックポケットが装備されているのがサイクルジャージの特徴です。また、汗をすばやく吸い取って乾燥させる吸湿速乾性の素材が使われているので、快適な走りをすることができます。体にフィットする形状をしているので、ストレッチ性が高く、風でウエアがバタつくなどの心配がありません。前傾姿勢に対応するために背中側の丈が長くなっていて、素肌が見えづらいようになっています。
・レーサーパンツ
動きやすいだけでなく、お尻の部分にパッドが装着されているので、ロングライドでもサドルに当たる部分の痛みを軽減してくれます。レーサーパンツは下着をはかずに着用するものですが、抵抗がある場合は下着を着用したり、自転車用のパンツやスカートを重ね着したりするのもいいでしょう。
・ウインドブレーカー・レインウェア
突然の降雨や汗による体の冷え防止になります。折りたたんでコンパクトになるものがいいでしょう。
・アイウェア
紫外線からの目の保護はもちろん、ゴミや飛び石などから目を守ってくれます。安全に走るために、サングラスを用意しましょう。
・グローブ
滑り止めや疲労軽減、ケガの防止になります。また、日焼け防止にもなります。気温や風の状況によって、指切りタイプと手袋タイプをチョイスしましょう。
・ヘルメット
長時間の走行では、思わぬ事故や転倒にあうかもしれません。頭部を守るためにもヘルメットは必ず着用しましょう。
持ち物
・バッグ類
持ち物がサイクルジャージのポケットに収まらない場合、バックパックやサコッシュを使用しましょう。
・補給食
ドリンクタイプと固形食など様々なタイプがあるので、自分にあったものを選びましょう。糖分の高い羊羹を補給食にする場合もあるようです。
・予備チューブ、パンク修理キット
予備チューブで長期間使用していないものはゴムが劣化するので、出発前に穴があいていないかを確認しましょう。
・携帯工具
出先でのポジション調整や、メンテナンスをするのに使用します。アーレンキーが付いているものは最低限必要です。常にサドルバッグに入れておくのがいいでしょう。
・携帯ポンプ
パンクなどの非常時に活躍します。小型のものほど空気をいれるのに時間がかかります。数秒で空気を充填できるボンベタイプの空気入れもあります。
その他に日差しが強い時期には日焼け止めを、暑い時期には虫除け、寒い時期には防寒対策を持っていきましょう。外的要因での疲労が蓄積すると集中力も低下してしまうので、安全のためにしっかりと季節にあった対策をしましょう。
ロングライド 持ちものチェック表
バッグ類 |
補給食 |
予備チューブ&パンク修理キット |
携帯工具 |
携帯ポンプ |
小銭入れ |
携帯電話&バッテリー |
自転車に装備するもの
・サドルバッグ
工具やチューブなどのアイテムを入れるのに最適です。様々なサイズがあるので、自分が使用する中身にあわせて選びましょう。普段の走行でも携帯電話や財布などを入れられるので、標準装備としておくのもいいでしょう。
・サイクルコンピューター
速度や走行距離、走行時間などが分かり、ペース配分の目安になるので必須アイテムです。前輪の近くにセンサーを取り付けるものやGPS方式のものがあります。高機能なモデルになると、心拍数やペダルの回転数以外に、ストップウォッチの区間タイム記録や目標距離までの残り距離なども表示するものがあります。さらに、GPSを装備したモデルだと走った奇跡をパソコンに取り込んで表示することなどもできます。しかし、それらの機能が自分に必要なものかどうかを考えて選びましょう。最初は必要最小限の機能だけのシンプルなものからはじめて、経験を重ねて機能をステップアップさせていくのもいいでしょう。
・ボトル、ボトルケージ
水分補給には、サイクル用ボトルを選びましょう。ペットボトルを装着できるタイプもありますので、自分に合ったものを選びましょう。ボトルの中身は、水やスポーツドリンクなどを入れます。2本持つ場合には、片方にスポーツドリンク、もう片方に水を入れておけば、濃度を調整したり、足りなかった時に作り直したりができます。ボトルケージはネジを回すだけで簡単に装着できるものが多いので、ロングライドだけでなく普段ロードバイクを楽しむ時にも活躍します。
ロングライド 装備チェック表
サドルバッグ |
サイクルコンピューター |
ボトル&ボトルケージ |
輪行袋 |
4.こまめな休憩と疲労回復が重要
せっかくのロングライドも、つらくなってしまっては続かなくなってしまいます。ロングライドを快適に楽しむために、休憩を上手にとって疲労回復をしましょう。
・疲れたらストレッチをしよう
長時間同じ体勢をしていると疲労がたまってしまいます。疲れたと感じたら首周りや肩甲骨などの軽く伸ばしてストレッチをしましょう。血行がよくなり、スッキリした気分でロングライドが続けられるでしょう。
・補給をしよう
休憩中には水分や糖分などのエネルギー補給をしましょう。少しでもお腹がすいたと思ったり、喉が渇いたと感じた時にはすぐに補給をしましょう。ロングライドに我慢は禁物です。
・自転車から離れる時には鍵をしよう
せっかく手に入れたロードバイク。ちょっと目を離したすきに盗難にあってしまったのでは、ショックが大きすぎて立ち直ることができなくなってしまうかもしれません。盗難の被害から守るために、ロードバイクから離れるときには必ず鍵をしましょう。
ロードバイクの魅力のひとつであるロングライド。風を切って爽快に走る姿が目に浮かびますね。自分の愛車のメンテナンスや事前準備を万端にして、万が一のトラブルにも対応できるようになれば、ロードバイクへの愛情も倍増することでしょう。短めのロングライドを積み重ねて、100km以上のロングライドやイベント参加など、ロードバイクの魅力を存分に楽しみましょう。
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