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自転車・ロードバイクの運搬が可能な電車のまとめ(輪行「電車編」)

自転車を電車に持ち込み、電車で輸送することは一定の条件を満たせば可能です。しかし、一概に「電車」と言っても、それを管轄する鉄道会社によってルールは異なります。そこでこの記事では、「荷物としての自転車の取り扱い」についてまとめてみました。
自転車・ロードバイクの運搬が可能な電車のまとめ(輪行「電車編」)

1.輪行

1-1.輪行とは

「輪行」は「りんこう」と読み、その意味は、鉄道や船、飛行機などの公共交通機関に自転車・ロードバイクを持ち込んで運ぶことです。サイクリストが行程の一部を自走せず、移動時間を短縮するために使う手段です。そのため、たとえば自家用車に車載して移動することなどは、公共交通機関を利用していないので輪行には相当しません。

輪行を採用する理由(公共交通機関を利用する理由)としては、自転車の故障や、旅程において天候や体調により自走が危険なケースの回避、あるいは道路が通行止めとなっている区間を避けることができるなど様々です。しかし、最大のメリットといえば、移動にかかる体力の温存や移動時間の短縮でしょう。例えば、100km離れた場所に日帰りでサイクリングしたいという場合、行きの100kmを自転車で走り、帰りは輪行すれば、たった1日の休みでサイクリングが満喫できます。そのため、サイクリストには輪行は非常に人気のある移動手段であり輸送手段です。

ちなみに、「輪行」という表現は、運送主体となる旅客運輸業者各社の運送約款および営業規則には一切登場しません。あくまで競技自転車選手およびサイクリストで用いられる用語であり、業界用語だということは認識しておきましょう。

1-2.由来

競輪選手は、競輪場まで自走してレースに参加することを、自転車で行くことから「輪行」と称していました。また、当時の競輪選手は競技場まで主に列車を利用して移動していましたが、その際、自転車を分解して袋に入れれば有料手回り品扱いとするという取り決めがなされていました(手回品とは、手荷物とほぼ同義)。そして、この自転車を収納する袋を「輪行」にちなんで「輪行袋」と呼んでおり、やがて輪行袋を使うことが「輪行」と言われるようになり今に至りました。

1-3.歴史

輪行は競技の道具と明確化できるアマチュア登録選手あるいは競輪選手にしか認められていませんでした。しかし、日本サイクリング協会が「趣味としてのサイクリング用」として認知させようと尽力。まずは1970年3月10日から、日本サイクリング協会会員に限り、帆布製の輪行袋を使用すれば会員証提示により輪行が許可されます。そして、1984年10月1日からは、会員証提示を廃止して一般サイクリストにも対象が広がり、有料手回品扱いとなりました。さらに1999年1月1日以降、当時の運輸省(現・国土交通省)からの通達により、JRと営団地下鉄(現・東京メトロ)については手荷物料金が不要となり、誰でも無料で自転車が持ち込めるようになりました。

1-4.輪行の許可条件

輪行の詳細については各公共交通機関を運営する企業により異なりますが、基本条件は以下の3つです。

  • 前輪もしくは後輪を外すなど自転車の分解。あるいは自転車を折りたたむ。
  • 専用の袋への収納。ゴミ袋などは不可。
  • 乗員自身による持ち込み。

2.JR各社の規定

2-1.JRの旅客営業規則

日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化により発足した北海道旅客鉄道・東日本旅客鉄道・東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道・四国旅客鉄道・九州旅客鉄道などのJRグループにおいては、旅客営業規則により乗車についての詳細を規定しています。

その中でも、輪行に関わる内容は「第10章 手回り品」の中の「第308条の1」および「第308条の2」です。この条文の内容はJRグループ各社で統一されており、以下のように明文化されています。(以下は抜粋)

第308条の1
旅客は、第309条に規定する以外の携帯できる物品であつて、列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り、3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、その重量が30キログラム以内のものを無料で車内に2個まで持ち込むことができる。ただし、長さ2メートルを超える物品は車内に持ち込むことができない。

第308条の2
旅客は、前項に規定する制限内であつても、自転車及びサーフボードについては、次の各号の1に該当する場合に限り、無料で車内に持ち込むことができる。
(1)自転車にあつては、解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であつて、折りたたんで専用の袋に収納したもの
(2)サーフボードにあつては、専用の袋に収納したもの

2-2.解釈

結論から言うと、JR各社に自転車を持ち込むことは可能です。ただし、「列車の状況により」可能である、ということは忘れてはいけません。つまり、混雑時は自転車の持ち込みは原則認めていない、ということです。

そして、持ち込める自転車の規格は、3辺の最大の和が250cm以内(ただし1辺の長さが2mを超える自転車は不可)かつ30kg以内の自転車です。この規格内であれば荷物として、無料で車内に2個まで持ち込むことができます。

ただし、タイヤを外すなど解体して専用の袋に収納するか、あるいは折りたたんで専用の袋に収納しなければいけません。

ここで言う「専用の袋」とは、電車に乗せるための専用の袋ではなく、「自転車を持ち運ぶための専用の袋」を意味します。要するに「輪行袋」のことであり、「ゴミ袋などのビニール袋は不可」ということになります。また、サドルやハンドルなど自転車の一部が露出している場合は、収納している状態とは認められませんし、もちろん折り畳み自転車を折りたたんだだけでは、いくら小さくなっていても持ち込めません。

JR四国では輪行に関してわかりやすく解説しているページがあります。参照ください。
列車内への自転車の持ち込みについて

3.私鉄各社の規定

3-1.自転車が無料で持ち込める私鉄

「東急」「小田急」「東武」「西武」「江ノ電」「つくばエクスプレス」「近鉄」「名鉄」は、JRグループの規定に準じていて、分解あるいは折りたたんで輪行袋に収納してあれば、無料での持ち込みが可能です。

「上信電鉄」「阪急電鉄」も無料で持ち込みが可能で、「京浜急行電鉄」も自社内は無料ですが相互直通先(泉岳寺以遠)では規定が異なるため注意が必要です。

「東京都交通局」「名古屋市交通局」の地下鉄においては、有料手回り品切符制度がありません。そのため、輪行袋に収納して入れば持込が可能です。

3-2.自転車の持ち込みが有料となる私鉄

自転車を分解あるいは折りたたんで輪行袋に収納していても、有料手回品となる事業者もあります。

群馬県桐生市の桐生駅から栃木県日光市の間藤駅を結ぶ「わたらせ渓谷鐵道」は1個につき270円です。
また、愛媛県の「伊予鉄道」も1個につき270円の手荷物料金が必要となります。

4.サイクルトレイン

サイクルトレインとは、自転車を分解したり折りたたんだりして専用の袋に入れる必要がなく、そのまま自転車を電車車内へ持ち込むことができるサービスのことです。輪行とは異なり、分解が困難なママチャリなども持ち込むことができます。

サイクルトレイン最大のメリットは、出発地点から最寄りの駅まで自転車で移動し、そのままその自転車を持ち込んで列車に乗車。目的地点近くの駅で下車し、すぐにそのまま自転車に乗って移動することが可能な点です。

近年では地方の中小私鉄が利用促進を目的とし、サイクルトレインを導入する例が増加傾向にあります。

サイクルトレインを実施している日本の鉄道路線まとめ(西日本編)

サイクルトレインを実施している日本の鉄道路線まとめ(東日本編)

5.まとめ

輪行とは、公共交通機関に自転車を持ち込んで移動することです。基本的な条件としては、以下の3つが挙げられます。

  • 分解か折りたたむことができる自転車が対象。
  • 専用の袋への収納。
  • 乗員自身による持ち込み。

詳細については各交通機関によって異なりますが、JRなら3辺の最大の和が250cm以内(ただし1辺の長さが2mを超える自転車は不可)かつ30kg以内の自転車が対象です。そして、分解あるいは折りたたんで専用袋に入れてあれば、無料で車内に2個まで持ち込むことができます。また、多くの私鉄もJRに準じており、輪行が可能な電車は多くあります。が、一部では持ち込み料金がかかります。私鉄で輪行をお考えの際はあらかじめ確認しておきましょう。

また、近年では分解や折りたたんだりする必要もなく、自転車をそのまま列車に持ち込める「サイクルトレイン」というサービスもあります。実施している路線の詳細は「東日本のサイクルトレイン」「西日本のサイクルトレイン」で紹介しています。参照ください。

いずれにせよ、近年では電車で自転車が持ち運べる路線が増えていますが、基本的には混雑時には輪行もサイクルトレインも利用できません。あくまで、公共交通機関は人の輸送を優先していることは覚えておきましょう。

輪行は、サイクリストにはとても良いシステムです。
ただ、一部のサイクリストのマナーが悪く、時折「輪行の是非」が議題となっています。

サイクリストとしての誇りを忘れず、マナーを守って、ぜひ輪行で今より楽しいサイクリングを実現してください!

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